当クリニックで診療している主な症状
- うつ病
- 躁うつ病(双極性障害)
- 統合失調症
- 社交不安
- パニック障害・不安障害
- 全般性不安障害
- 強迫性障害
- チック(トゥレット)
- 場面緘黙症
- 適応障害
- 睡眠障害
- 物質使用障害(アルコール、ベンゾジアゼピン受容体作動薬など)
- 発達障害※(自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(学習障害))
- 性別違和(GID)
- 認知症
- せん妄
発達障害はその特性を本人や家族・周囲の人がよく理解し、その人にあったやり方で日常的な暮らしや学校や職場での過ごし方を工夫することが出来れば、持っている本来の力がしっかり生かされるようになります。
発達障害はいくつかのタイプに分類されており、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害、チック障害、吃音(症)などが含まれます。
これらは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるという点が共通しています。個人差がとても大きいという点が、「発達障害」の特徴といえるかもしれません。
発達障害について
発達障害は、発達障害特有の特性による日常生活・社会生活に必要な適応スキルの習得や習熟の困難による生活上のさまざまな問題のすべてを満たすときに診断されます。特有の特徴がみられても、生活上の困難がなければ診断はされません。つまり、発達障害の診断は、特性と生活上の困難の両方があるというその時点での状態を意味する状態診断といえます(宮本信也、2019)。成長するにつれ、自分自身のもつ不得手な部分に気づき、生きにくさを感じることがあるかもしれません。
自閉スペクトラム症:ASD
自閉スペクトラム症には自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれます。症状の強さに従って、いくつかの診断名に分類されますが、本質的には同じ1つの障害単位だと考えられています。以下のような特徴が挙げられます。
- 状況にあったコミュニケーションや対人行動がうまくできない
- 特定の同じ行動や活動あるいは同じ事柄への関心をいつも示す
幼児期
幼児では知能障害を伴う場合は1歳台で、人の目を見ることが少ない、指さしをしない、ほかの子どもに関心がない、などの様子がみられます。また、保育所や幼稚園に入ると人との関わり方が独特なことで気づかれることがあります。
知能障害がない場合は、言葉を話し始めた時期は遅くなくても、自分の話したいことしか口にせず、会話がつながりにくい、自分の好きなことや興味のあることには熱中するのに、初めてのことや決まっていたことの変更は苦手で時間がかかることがあります。
思春期・青年期
思春期や青年期になると、自分と他の人との違いに気づいたり、対人関係がうまくいかないことに悩んだりし、不安症状やうつ症状を合併する場合があります。就職してから初めて、仕事が臨機応変にこなせないことや職場での対人関係などに悩み、自ら障害ではないかと疑い病院を訪れる人もいます。
生活環境の調整
幼児期など早期に診断された場合には、個別や小さな集団での療育を受けることによって、コミュニケーションの発達を促し、適応力を伸ばすことが期待できます。言葉によるコミュニケーションに頼りすぎず、視覚的な手がかりを増やすなどの環境面の工夫をすれば、子どもの気持ちが安定し、パニックが少なくなることが期待できます。
自閉スペクトラム症は幼児期から成人期を通して、身近にいる親や配偶者が本人の特性を理解しているかがとても重要です。
本人が安心するだけでなく、周囲に特性を伝えることにより、本人にふさわしい学校や職場環境が整い、支援の輪が広がっていきます。
注意力欠陥・多動症:ADHD
発達年齢に見合わない多動‐衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が、12歳までに現れます。多動‐衝動性優勢型、不注意優勢型、混合型に分類されます。
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多動‐衝動性の症状
座っていても手足をもじもじする、席を離れる、おとなしく遊ぶことが難しい、じっとしていられずいつも活動する、しゃべりすぎる、順番を待つのが難しい、他人の会話やゲームに割り込む、など
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不注意の症状
学校の勉強でうっかりミスが多い、課題や遊びなどの活動に集中し続けることができない、話しかけられていても聞いていないように見える、やるべきことを最後までやりとげない、課題や作業の段取りが下手、整理整頓が苦手、宿題のように集中力が必要なことを避ける、忘れ物や紛失が多い、気が散りやすい、など
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多動症状
一般的には成長とともに軽くなる場合が多いですが、不注意や衝動性の症状は半数が青年期まで、さらにその半数は成人期まで続くと報告されています。また、思春期以降になってうつ症状や不安症状を合併する人もいます。
薬物療法
脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンの不足を改善する薬を服用します。
生活環境の調整
勉強などに集中しないといけないときには本人の好きな遊び道具を片づけ、テレビを消すなど、集中を妨げる刺激をできるだけ周囲からなくすことが重要です。
また、集中しないといけない時間は短めに、一度にこなさなければいけない量は少なめに設定し、休憩をとるタイミングをあらかじめ決めておくことも効果的です。
限局性学習症:学習障害
全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算する、聞く、話すまたは推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものと定義されます。
よくある誤解
- 形態の整わない文字を書く
- 大きくすれば読める
- 目の問題で起こる
- 読めるようになるフォントタイプがある
- 字が浮き上がって見えたり動く
- 色付き透明フィルターで読めるようになる
発達性読み書き障害がある子どもの多くは、小学校入学後、ひらがな習得に困難な場合には徐々に学力が落ち中学校入学後は、英語の読み書きに困難を生じます。
音韻能力の関与が、日本語の文字体系より英語に強く影響するからです。高校へ入学すると伸び伸びと学校生活を送るようになりますが大学進学後は面接試験で採用される就職先に進むことが多いです。成人になった発達性読み書き障害例には、周囲の人々の受け入れが十分ではないなど問題となる場合も多く、発達性読み書き障害の正しい理解と社会での受け入れが求められています。
性別違和についてのご相談
当クリニックでは、原則として日本精神神経学会による診断と治療のガイドラインに沿って診療をしております。しかし、望む性別での生活歴や治療の進度によって柔軟に対応いたします。ホルモン治療や性別適合手術のための意見書の作成、改名・戸籍変更のための診断書作成にも対応しております。詳細は診察の際にお尋ねください。性別違和に限らず、医療や心理的支援を要する方の、自分らしい性のあり方を支援していきたいと思います。